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第5回

モデルベース開発について(2/2)

 

前回に引き続き、モデルベース開発について紹介いたします。
今回は、モデルベース開発のメリットやデメリット、運用面についてのポイントなどを書きたいと思います。

 

◆メリット
・ブロック線図で表現されるため、処理の流れが視覚的にも分かりやすい。
・設計段階から妥当性確認を行うことで、検証に掛かる工数を削減することができる。
・コードの自動生成が行うことで、ヒューマンエラーによるコーディング時の不具合を排除することができる。

 

◆デメリット
・初期費用が高く専門の技術者が少ない為、導入までの敷居が高い。
・従来開発とモデルベース開発[運用・導入]を平行して行うため、運用までの間、業務負荷が高くなる。
・設計段階で要求の誤りや抜け、漏れが合った場合、間違ったモデル(仕様)のまま開発が進められてしまう。

 

◆運用について
メリット、デメリットで記載した項目もありますが、運用面でのポイントは以下の3つです。

 

<ポイント1>
複数のユーザーで使用する場合は、ブロック図の構成や階層の粒度などの記載ルールを設定し
共通の粒度で作成することが重要となります。

 

<ポイント2>
パラメータの適合や調整等といったことに注視して工数を掛けてしまうこともある為
本来の使用方法の妥当性確認を念頭において利用すること。

 

<ポイント3>
ブロック図の構成や階層を自由に構築、また仕様変更も手軽にできてしまうことで
変更点(要求に対する考え方、対応方法)が残らない場合も起こり得ます。
またその一方で、変更点を残す運用をしようとした場合
妥当性確認の回転速度が低下し効率が悪くなる可能性もあるため
いかに工数をかけずに変化点を残すことができるか、が運用面のポイントであり
継続的な課題といえます。

 

◆自動車業界の現状と課題
私が自動車業界の開発現場に携わり、感じている現状と課題は以下の通りです。

 

<自動車業界の現状として>
自動車に搭載されるECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)の数は10〜15年前は
10〜20個程度でしたが近年では50個を超える(高級車では100個以上)と大きく増加しています。
車両機能の多様化に伴い、ECUの通信機能が強化、高速化されたことやハイブリッド車の普及も
その要因といえます。
また自動車の先進運転支援システム(自動ブレーキ等)の開発もあり、今後もECUの増加が想定され
複雑化する制御開発に対応するため、さらに効率の良い開発システムの運用が必要となってきている現状があります。

 

<車両の開発費についての課題>
近年はECUの増加、車両機能の拡大に伴い、開発費の増加が大きな課題となっています。
新たに車両を開発する場合、試験用の車両を100〜200台と製作します。
一般的には1台あたり3000万〜4000万といわれており、高いものは1億を超えるといわれています。
1台3000万としても3000万×100台=30億と非常に高額なものとなります。
開発の効率化で製作数を減らしていくことがとても重要な課題です。

 

◆最後に
モデルベース開発は特にハードウェアを伴う大規模な開発に有用だと思います。
運用面に課題の残る開発システムではあるが、まだまだ発展途上の
開発システムであるといえます。
どの開発現場でも諦めずに継続的に改善し最適化していくことが
重要であることを仕事を通じて肌身をもって感じています。
モデルベース開発について解説、言及している書籍やWebサイトは多数あり、
海外では航空開発、金融、エネルギー要素でも活用されていますので
みなさんも興味のある方は調べてみると面白いと思います。


モデルベース開発についての紹介は以上となります。
ありがとうございました。
 

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